恋の訪れ
「うーん…確か4月の初め」
「それってほんとですか?」
真理子は驚いた表情でサクヤ先輩に問い詰める。
「うん、マジ」
「へー…そうなんだ。やったじゃん、莉音」
「へっ!?」
真理子は急にパーっと表情を明るくし、あたしの肩をパチンと叩いた。
「あの女の欠点掴んだよ」
「えー…だからってどうするの?」
「今度何かあった時に使えるじゃん」
「え、そんな…。だけど可哀相…」
だって、昴先輩に振られたからって即効ヒロ君でしょ?
振られたら次の男なわけ?
なに、あの女…
「え、誰が可哀そうって?」
「ヒロ君…」
「はぁ!?ほんっとアンタには呆れるわ!」
「へー…ってかさ、そんなにいい男なんだ、ヒロ君って言う奴」
「莉音からすると、途轍もなく王子様なんです」
馬鹿っぽく真理子が言うと、ダンっ…とあたしを塞ぐように、サクヤ先輩の腕の中に閉じ込められた。
これが壁ドンってやつですか…?
ってか、なんなの、先輩…
「俺とヒロ君って奴、どっちが好き?」
なんて笑みを漏らして言ってる先輩の横で真理子はケラケラと笑う。