恋の訪れ
「あ、…ちょっと莉音の心の病を治してたんです」
「あはは。病ってなに?俺が治してあげようか?」
ケラケラ、サクヤ先輩は笑うけど、ほんとなによ!
ヒロ君と話すだけでこんな事になるなんて…
「莉音ね――…」
「ギャャャー!!やめてよ、真理子」
真理子の口を勢いよく塞ぐ。
こんな事、この軽そうなサクヤ先輩に言っちゃうわけ?
信じらんない。
「ちょ、莉音。離して!」
真理子の手によって、手を振りほどかれる。
そして真理子はため息をついた。
「って言うか、真理子ちゃん…散々な言われようしてたけど大丈夫?」
「あー…見てました?」
「うん、あんな所で騒いでたらね」
「ですよねー…原因はこの子なんですけどねー」
なんて真理子は呆れたようにチラッとあたしを見た。
そんな視線を何事もなかったように避ける。
「って言うか、さっきの女、昴に振られてたけどね」
「「えぇっ!?」」
思わずあたしと真理子の声が見事にハモッた。
え、そうなの…
それほんとなの?
あまりの衝撃の言葉にあたしは声を出す事さえ忘れてしまってた。