綿菓子と唐辛子


どういうことだ。


今、ヒメは実家に帰っていて。俺たちが住んでいる地域にはいない。

そして、あの時に会った男は、ヒメの元クラスメートと名乗っていた。

その男が、今はこうして電話に出ている。



…この状況が、分からなかった。




「…どういう、ことですか」


頭が真っ白になる。

突然現れたその存在と。ただのクラスメートだと言っていたのに、今ヒメのすぐそばにいるということ。

…住んでいた家に、2人でいるということ。



『…彼氏さんには、申し訳ないですが』

「…」


『…今、相坂は大事な、大きなことを控えています。すべて終わったらお話するので、今はそっとしておいてもらってもいいですか』


「…は?」


…何を、意味の分からないことを言っているんだ、こいつは。

というか、こいつはヒメの何?

どうして、今ふたりでいる?


「…何勝手なこと言ってんだ?俺はヒメに話がしたくて電話したんすよ」


ヒメが、他の男と一緒にいる。

その状況が、本当に信じられなかった。




< 167 / 265 >

この作品をシェア

pagetop