アドラーキャット


半ば無理矢理連れて来た荻野目くんと祐介くんは、二人ともなかなか綺麗な顔をしているので和歌サークルの女の先輩や友達にも大好評だった。

オレンジジュースをチビチビと飲んでいる荻野目くんは相変わらずコミュニケーションをとる気はなさそうだが。

どんどんやってくる一年生用にコーラを紙コップに注いでいたら、傑先輩がこちらにやってきた。

「おい、瑞希の後輩、顔面偏差値高くねぇか。」

「顔面偏差値って何なの。でも可愛いよね。あの子たち、けっこう頭もいいんだよ。」

自慢気にそういえば、傑先輩は数秒荻野目くんを見つめる。

その視線に気づいたのか、荻野目くんもこちらを見つめてきた。

んー、と数秒顎に手を当て考えた後、傑先輩は閃いたように声をあげた。

「もしかして、ニャンコくん?」

ピシッ、と荻野目くんの周りの空気だけ急激に下がったようだった。

「ちょっ、先輩それは言わないでよ‼てか荻野目くん睨まないで‼怖い怖いごめんなさい!!」

慌てて傑先輩と共に荻野目くんと距離をとる。

「てか傑先輩もコーラ配るの手伝って‼」

「酒ないの?」

「昼間から飲むな‼」

ぎゃあぎゃあと、いつものように先輩と騒ぎながら一年生に絡んでいった。

まぁ、こんな風に仲良く出来るんだったら、別に友達でもいいかな、なんて考えながら。


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