アドラーキャット


テニスサークルという名の高原へお泊まり会と化しているサークルと比べれば、私が所属している和歌サークルはそこそこ真面目に活動している。

まぁ、それぞれが好き勝手に和歌を調べてるだけなんだけど。

私は藤原定家が好きだからひたすら定家の和歌を詠んで色んな本の訳を読んで楽しんでいる。

今ではもう友達だが、元カレの傑先輩は特定の歌人が好きというよりは、時代ごとの和歌の特徴を調べるのが楽しいらしい。

まぁ、それぞれの趣向によって活動は違うのだ。


そんな曖昧な活動内容で、やはり部員も少なく、和歌サークルは毎年新入部員集めに必死だ。

後輩、友達の友達、親戚。
とりあえず、誰でもいいから知っている人には片っ端から声をかける。

勿論、知らない人だって声をかけるが「和歌サークル」というのを聞いた瞬間に真面目な活動をしていると思われ敬遠されがちなのだ。


「ねぇ君たち和歌サークル入らない!?」

と、いうこで。
只今私は荻野目くんと祐介くんを絶賛勧誘中。

後輩っていいよね。
こーゆーとき、先輩の言うこと聞いてくれるもん。

「……。」

「沈黙は肯定だよね‼よし、行こう‼」

まぁ、言うこと聞いてくれなくても慕ってくれるだけで十分だから‼
別に全然悲しくなんかないし‼

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