アドラーキャット

ユング



グツグツと、鍋が煮える。

白菜に、人参に、なんだか忘れたけど美味しそうな白身魚。
鍋って作るの楽だからいいよね。

「………瑞希先輩は、荻野目のこと好きじゃないんですか?」

そして今、私は鍋を囲んでいた。
祐介くんに相談にのってもらいながら。

「うーん。好きだけど、付き合いたいとかはないっていうか。てか、荻野目くんがそういう男女のアレコレに興味あるのにビックリしたっていうか。」

「まぁ、あいつも男ですし。」

祐介くんは苦笑いをしながら携帯を手に持ちいじり始めた。

「俺、先輩が荻野目のこと気に入ってるのも、荻野目もそれがけっこう満更でもないのも三年間見てるんですよね。」

「そうだよね。」

なんだかんだ言って高校時代も私と荻野目くんと祐介くんでいる時間はかなりあった。
荻野目くんも祐介くんもなかなかイケメンの部類だったから女の子たちに睨まれたのもいい思い出だ。

睨まれても平気だったのは、私なんかが二人の恋愛対象になるはずないと思っていたからで。
というか本当にごくごく当たり前のように、荻野目くんも祐介くんもいつか私の全然知らない人と付き合って結婚するんだと考えていたのに。


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