そしてキスからはじまった
俺はひとしきり笑いながら泣いた。

フラフラと電車に乗り、マンションまで帰った。

ジュリアにはなんと言えばいいだろう

自由になるといったら彼女はどんな反応をするだろうか?

俺と離れてさっさと紫音のところに行くのだろうか?

その時、俺は耐えられるんだろうか?


そんなことを考えながらマンションの近くの公園のベンチで座っていた。

何時間たっただろう。もう日付がかわっただろう。

ふらふらとマンションに戻って玄関のドアを開けた

ジュリアが待ち構えたように玄関に走ってきた。

こんなこと・・初めて・・

もしかしたら聞いているのか?

それは親父から?

紫音は黙っておいて欲しいと言ったみたいだけど本当はジュリアも知っているのでは・・

二人は連絡を取り合っているのでは・・俺は裏切られているのではそんな考えが浮かぶ

「孝・・お帰りなさい・・お願いがあるんです。

お母さんが入院しているそうなんです。契約が伸びても構いません

お願い、フランスに帰って、お母さんの看病したいの。

ボスに聞いてください。」

そう言って俺を見つめる

ジュリアは知らなかった・・俺は二人に裏切られていなかった。

それすらも嬉しい俺はやはり汚れている。


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