そしてキスからはじまった
「その人に会うことはできないんですか?お礼を言いたいんです。」
必死でボスの手を握る私にボスは首を横に振って私を優しく見た。
「彼との約束だからね。彼も君の幸せを祈ってる・・
でもまた会えると思うよ・・そんな気がする・・その時はあの男のことを聞いてごらん。
あの男がどうなったか知っているのは私と君と彼だけだから
彼だと分かったら君の考えるお礼をすればいい」
私が考えるお礼?今は分からないけど
「・・はい」と答えた。
「よかった・・ジュリア・・フランスに帰る用意は出来てるか?」
「はい・・2.3日の着替えと大事なものをまとめておくようにと言われました。」
「実は今日の最終のフランス行きのチケットが取れたんだ・・
もって帰れない大事なものと必要なものはフランスに送る
もう一度確認して・・それ以外は処分するから」
私はそれから最終確認のように荷物を整理した。
あまり荷物もないしあらかじめやっておいたのであまり時間がかからなかった。
私は孝に電話をかけたが出てはくれなかった。
留守番に「孝・・ジュリアです。フランスに帰ります。」
傷つけてごめんねと謝りたかった。短い時間の録音で言う前に切れてしまった。
もう一度かけようと戸惑っている間に孝の携帯には繋がらなくなってしまった。
ルイさんも電話にしたが出てくれなかった。
メールで契約がなくなってフランスに帰れることになりました。
いろいろありがとうございました。と打って送信した。
紫音の連絡先は知らない。もう会うこともないかもしれない。
二時間後約束通りボスは私を空港に送るために迎えに来てくれた。