そしてキスからはじまった
私は部屋を出たその足で郵便局に来た。彼女が置いていった小切手を送り返す為に…
あの時…すぐに返せばよかったのに…
紫音が何かあったらとバイトを始めて直ぐくれたお店のカード。
こんな時に役立つとは思わなかった…
アドレスを書いて窓口に出した。小切手を送った控えを大事に財布にしまった。
紫音への気持ちをお金で売ったと思われたくない…
近い将来生まれてくる赤ちゃんにちゃんと好きだった人との子供だよと一つの証拠として残す為に…

そして私は依頼された仕事を支社長に見せに来た
いつもの喫茶店・・

これが最後の仕事・・
「よし…これで良いよ・・本当にこれで最後なの?」
支社長に昨日、電話でそう伝えた

「はい・・住み込みの仕事が決まったので・・」
「そう・・残念だけど・・あのコンテストに応募はする?」
「はい・・応募したいと思います。」
「良かった・・住み込みの仕事は大変だけどあきらめずに書くんだよ。今年中にここに送ってくれればいいから」
と名刺を渡された。
出版社の住所と支社長の名前があった。個人の携帯番号をすらすらと書いてくれて
「何かあったら連絡するんだよ」と言ってくれた。

それから支社長はどんな仕事かとかいろいろ聞いてきた。
病気の子供たちの世話をしながら勉強を教えたりすると答えた
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