そしてキスからはじまった
嘘はついてない…
大事な事も 言ってないけど
私は子どもを産んで死ぬだろう…ということ…
このお父さんに似た優しい人に会うのもこれで最後…
喫茶店から出て後ろ姿を見つめながら悲しい気持ちになった。

ふと道路に赤い車…
あっ…あの人の?
お店の横の狭い道に入っていった。
カフェレストランR…紫音のバイト先?こんなところに…
私はなかなかきれない車がきれるのを待って道路を渡った…
吸い込まれるように店をのぞけば笑いながら見つめ合う二人…
お似合いだ…本当に…
「さよなら…紫音…」
「あの〜」
声の方に向くと男の人が立っていた。
日本人とのハーフだろうか?…ウェーブがかかった柔らかそうな髪をしたかわいい感じの彼は
私を見てビックリして何かを呟いた。
「ごめんなさい」私はとっさに日本語で謝った。

困った顔をして「どうかしたの?エッと」
彼は呼ばれたのだろうか?お店の方を向いて「今、行きます」と言った。
私は彼の意識がそれた隙に店から離れた。
不審者だと思われたかな?
笑い合う二人…不審者の私…
ここにいるのが嫌で急いで逃げ出した。
惨めで孤独だった…






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