そしてキスからはじまった

青side

一年前、アメリカに来ることをやっと息子は承諾した。
もう少しで近くに暮らせる…
ずっと離れて暮らしていた…
アメリカと日本…距離だけではなく気持ちが離れていた
少しは親らしい事をしたいと思ってた。

息子には可哀想な事をしてしまった…母親を私が愛せなかったために彼女は浮気をし、息子を最悪なやり方で捨てた。
そして私の仕事のせいで欲にかられた奴らに誘拐されかかった。
紫音は人並み外れた聴力で悪巧みを聞き、いち早く逃げ切った為、事なきを得た。息子の安全を考え、日本のお袋に紫音を預けた。

息子は私と似ている。能力を持て余し、成長した彼は容姿目的の女達と遊ぶ自堕落な生活をしていた。負い目がある私は咎めることもしなかった。
だが大学に入ってから学校には相変わらず行ってないようだがアルバイトに精を出して女遊びも辞めたようだ
ずっと先延ばしにしていたのにアメリカへ来るという…何があったのか?
だが直前でフランスに一年間だけ留学させて欲しいと頭を下げてきた。
要求を飲むかわりに息子に一年でフランス語をマスターし、経営学も学ぶように義務を与えた。
紫音なら出来るだろう。

もうすぐ一年間の留学が終わるのに何度連絡しても電話も無視をされている。
私は何年か振りの長期休暇を取った。胸騒ぎがした。
それはあの男が連絡をしてきたからだ。一ヶ月少し前だ。三上というその男は前からパーティで何度も声を掛けてきた。
飲食業界で成功しているそうだが…あいつはキツネだ。策略が得意な…
汚い手でもつかってのし上がったんだろうと相手にもしなかった
三上は電話越しで上機嫌に言った、息子さんに娘がお世話になっていると…
どういうことだと問いただすと紫音が男の娘の店で働いていること、二人は恋人同士だと言う…
あの男の言う事など信じられない
あの男の娘なんて…私は真相を確かめるためにルイ君に連絡を取った。
何かあるようだが三上の事は聞いた事もないと言っていた。

やっと休暇が取れ、この地、リヨンに来た。駅に着いた途端に具合が悪く、近くの病院に担ぎこまれた。
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