そしてキスからはじまった
「孝…ちょうど良かった。今度入ったダンサーを紹介するよ」

またかよ…
化粧の濃い外人なんて興味ないんだけど…
彼女たちも貧しくて家族を支えるため日本まで来てるんだけど
セックスをお金のためと割り切ったのばかりで好きにはなれない。
うんざりした顔をした。

親父が呆れたように笑って

「ジュリア…ちょっと来て」
日本語?

「はい…ボス」
ステージで練習していたダンサーの一人がこっちに走ってきた…

化粧っけのない・…
いや必要がない
陶器のような白い肌…
琥珀色の綺麗な髪と瞳…
赤い唇…
なんて綺麗な子なんだ

じっと見る俺に親父はニヤリと笑って

「孝・…ジュリア…お前と同い年だよ」
そう言って

「ジュリア…孝・…俺の息子だよ…
今、英語の勉強中だ・…勉強相手になって教えてやってくれ」

ジュリアは頷いて

「教えることは…私にはむずかしい…
でも私も日本語勉強したいです。
一緒に勉強したいです。
よろしくお願いします」
とニッコリ微笑んで握手をした。

「もう戻っていいよ」と親父に言われて
ジュリアはペコリと親父と俺にお辞儀をして稽古に戻った。
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