そしてキスからはじまった
そんなことを考えながらお客に愛想をふりまきながら客席を回る。

チップが欲しい子たちは積極的に回るけど私はそんなことも出来ず

おとなしそうな人の周りを少し回って時間をつぶす。

いきなり腕をつかまれた。

「あっ・・」

またこの人・・お店が終わった後、しつこく誘われたんだ。

「離してください・・いっ痛いです。」

紫音のこと考えていて油断した、こんなに近くにいたことに気が付かなかった

腕をぐいっと引っ張られて座っていた彼の上に座る形になった。

吐息が耳にかかる

気持ち悪い・・

「ねぇ今日はどう?終わった後、ご飯でも食べにいこう」

優しく問いかけるように言う

「私・・おっ、お客様とはお店の中、だけです。」

「そうなの?みんな・・外でも付き合ってるよ。お金になるからね」

「私は違います。」

じろっと私を見て

「そうなの?残念・・君もそうかと思った」

「す、すみません」

「いいんだよ。ふふ」

高級そうなスーツをきた優しそうなこの若い男の笑った眼が怖かった。
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