*お向かい彼氏*






「なにそれ。八田さんって人も光輝さんも気に入らない!」




頬を膨らませて言った。




「だいたいひかる、なんでその女の言うこと聞くのよ!彼女はひかるでしょ?遠慮することないじゃん!」







そんなのわかってる。



わかってるけど…





「プライドかな。そんなのであたし達は壊れないって意地張った…。それに八田さんって、悪い人じゃないってわかっちゃったから。」





「なんで。」





「だって恋する女の子だよ。やり方間違っただけで…。なんか、拒否出来なかった。」










あれが恋する女の子の目かなってちょっと疑問は残るけど、



でもどうしてだか、もう彼女が憎めない。




元をたどれば今だって八田さんのせいだけど




不思議…。





「…ひかる達、ちゃんと話さなきゃダメだよ。」





「そうだね…でも光輝に拒否されるのが、すごく怖い。」










夜空に大きな華が咲く。







栓が抜けたようにあたしの目に涙が溢れた。




「綺麗だね…光輝とも、見れるかな…」






「見れるよ。これからもずーっと、2人は一緒にいるの。」











花火を見ながらあたしは光輝を想う。










あなたは今



あたしのことを考えてくれてる?










好きで、好きすぎて苦しいよ。












< 212 / 331 >

この作品をシェア

pagetop