*お向かい彼氏*
「それに…下の名前で読んで?」
「……へっ!?」
「もしかして…覚えてなかったり?」
静かに車が発車した。
まさか!そんなワケないし!!
でも…下の名前で呼ばれるのさえさっきから恥ずかしいんですけど…。
"ひかるちゃん"
みんなに呼ばれてるはずの名前がなんだか特別みたいに感じる。
彼氏って…すごい!!
って、ちがーう!
「……光輝さん?」
下から覗くように見ながら思い切って言ってみる。
「どこ向かってるんで…、向かってるの?」
違和感バリバリー。
「んー…初デートの希望は?」
…希望…
「水族館!」
「了解。」
子どもっぽかったかな。
でも…光輝さんが笑ってくれたからいいや。
「ひかるちゃんはどこの学校?」
「近くの私立…西見中って知ってる?」
「…マジ?俺、去年までいた。」
…えー!?
「一年間も同じ学校!?知らない!」