*お向かい彼氏*
立ち上がったあたしを、涙で濡れた瞳で見つめる。
ゆっくり歩いてきて、再会したときのようにあたしを抱きしめた。
「………愛してるよ、ひかる…幸せになれよ…?」
「巧…、」
優しい、爽やかな巧の匂い。
ちょっぴり汗臭い日もあったな。
あたしの大事な居場所だった。
あたしのためにサッカー部を辞めたことを知ったときは喧嘩になったね。
ひかるの傍にいることが一番大事だって…。
ホントにホント大切にしてくれた…
「いっぱいいっぱい…
ありがとう…っ!」
今日からあたし達は別の道に行く。
また会って
友達として笑って話せるまで
しばらくお別れだね?
「ばいばい、巧…。」
あたしを愛してくれてありがとう
光輝がいなかったら、きっとあたしはあなたを愛したと思うの
巧に、素敵な人が現れますように…
泣きながら、そう願った帰り道。
まだ少し暖かい風があたしを包み込んでくれたー…