*お向かい彼氏*










立ち上がったあたしを、涙で濡れた瞳で見つめる。






ゆっくり歩いてきて、再会したときのようにあたしを抱きしめた。






「………愛してるよ、ひかる…幸せになれよ…?」







「巧…、」






優しい、爽やかな巧の匂い。




ちょっぴり汗臭い日もあったな。







あたしの大事な居場所だった。








あたしのためにサッカー部を辞めたことを知ったときは喧嘩になったね。







ひかるの傍にいることが一番大事だって…。




ホントにホント大切にしてくれた…










「いっぱいいっぱい…


ありがとう…っ!」












今日からあたし達は別の道に行く。










また会って




友達として笑って話せるまで










しばらくお別れだね?










「ばいばい、巧…。」

























あたしを愛してくれてありがとう










光輝がいなかったら、きっとあたしはあなたを愛したと思うの








巧に、素敵な人が現れますように…









泣きながら、そう願った帰り道。








まだ少し暖かい風があたしを包み込んでくれたー…










< 264 / 331 >

この作品をシェア

pagetop