*お向かい彼氏*
巧にとってそれがどれだけ残酷な言葉かわかってる。
わかってるうえでそう言った。
だってそれは…あたし達が一緒にいた二年半の月日全てを否定するものだから…
「…俺は…何をしてもひかるの一番にはなれねーの…?」
「ごめん…巧、ごめん…。」
あたしを軽く抱きしめて、肩に額を当てながら巧が言う。
「じゃあそいつと寄り戻すのか… ?」
「ううん、戻さない。まだ浮気を許した訳じゃないから。でも気が済むまで想い続けようと思うの。前の家に戻って…。」
お互いにとって最善のことだと思うよ。
いつまでも甘えてられない。
肩が濡れるのがわかった。
あたしなんかの泣いてくれるんだね…
「ね、巧…終わりにしよう。前に進もう…」
「ひかる…なぁ、少しでも、俺を好きだと思ったことあった…?」
「うん、あったよ…!好きだけど、愛せなかった。ごめんね、いっぱい優しさをくれたのに、ごめんね…っ」