恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
この病室は一人部屋で、わたしには当然、訪れる人もいなく、それからはずっと一人だった。
友恵さんが持ってきてくれた夕食も、一人で食べた。
悪いと思ったけど、食欲がなくて半分くらいは残してしまった。
別の看護師さんが食器を片付けに来て、注意された。
残したらやっぱり、怒られるんだ………
明日からは気をつけよう。
そう思った。
それからは、テレビを見る気分にもなれなくて、ベッドの布団の中に潜り込んだ。
これからのことをいろいろと考えてしまう。
身元がわからなかったらどうしよう、とか、病院にはずっと居られないよね、とか……
そして………
あの、月色の頭をした彼のこと………
なぜか気になってしまう。
どうしてだろう?
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