恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
少しずつ、腕の力が強くなる。
「あと……おれを止めてくれて………ありがとう」
ぎゅう……と、さっきより一層強くなる。
少し痛いけど、それが嬉しかった。
わたし……戻ってこれたんだ………
この大好きな腕の中に……戻って来れた。
そう思うと、自然と涙が溢れた。
「煌、くん……ありがと……」
煌くん………煌くん………
心の中で何回も名前を呼んだ。
愛しい人の名前を。
「愛依……俺、お前のことを守りたい」
「もう……十分……守られてるよ」
幸せなくらい………
それに………わたし……
「煌くんが……いてくれたら……それだけで………いいの………」
それだけで十分だよ?
もう……何もいらない。