恋する*memory〜記憶をなくしたわたし〜【完結】
扉が……開いたからだ。
開けたのはわたしじゃない。
きっと……きっとじゃない。確実に、今、わたしの目の前にいる、この人だ。
スタイルのいい、長身のきれいな女の人………
「覗き見なんて、良い趣味ね」
女の人は、クスリと笑った。
「あなた……煌の、何?」
そう、聞かれるけど、答えることもできずに、迫力に押され、後ろに下がる。
「えっ……と……わ、たし………」
「何よ?隠さないではっきり言いなさい!」
こ、この人……怖い……
どうしよう………
「言わないんだったらしかたないわね」
そう言って、わたしの脇腹に入れ………肩に担いだ。
……………
「……えーーーー!?!?」
か、担ぐ……?
う、嘘でしょ……?
「うるさいわね……静かにしなさい」