最愛レプリカ

一息ついた所でオジさんに別れを告げ、津村の車に乗り込んだ。

津村は手慣れた動作で車を走らせる。

キラキラとした街のネオンが窓の外を流れてゆく。


「ちぃちゃん。いつになれば電話してくれるわけ?」


不意に津村がからかうみたいな目で私に聞いた。


「さぁね。知らない。」


津村に貰った小さなメモは未だに役目を果たしていない。


「俺の実習が終わるまでに絶対かけろよ!」

「さぁね〜」


津村は悔しそうな顔をした。なんだか子供みたいで可愛かった。
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