クールな王子は蜜の味

寧々side

私は泣きながら、

無我夢中で走った。

・・・

博美と博史に追いかけられ、

呼び止められたけど、

それでも止まる事はしなかった。

・・・

いつもなら二人とも、

足が速くて、

私になんか軽く追い越しちゃうくらいなのに、

どこからそんな力が出たのか、

2人は私に追いつくことはできなかったみたい。

・・・

でも、

私は急に足が止まった。

・・・

止まったと言いより、

止められた、の方が正しいかもしれない。

・・・

誰かの横を通り過ぎようとした時、

しっかり腕を握られ、

振りほどくこともできなかった。

・・・

「おい、なんで泣いてんだよ?」

そう言って、

私の顔を覗きこんだのは木山先輩だった。
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