クールな王子は蜜の味
怯んだすきに、

私は玄関をバタンと閉め、

鍵をかけ、チェーンもしっかり掛けた。

それでも外にいた女子たちは、

何度も玄関を叩く。

私はリビングに行き、

耳を塞いだ。

それなのに、それでも怒声は聞こえてくる。

隣人たちは、留守なのか、

出てくる様子もなく、

私はただそれに耐えた。

・・・

しばらくすると、

怒声はやみ、代わりに家の電話が一本。

「・・・もしもし」


『逃げるなんて卑怯じゃない?』


「?!!」

・・・

電話の主は、外にいる女子だった。

どこでうちの電話番号を調べたのか、

私は電話を勢いよく切り、もう一度受話器を上げると、

横にポンと置いた。

また電話がかかってこないように。

・・・

怖くて、怖くて、

私は震える手で、

携帯を鳴らしていた。
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