クールな王子は蜜の味

寧々side

体は智也に抱きしめられてるのに、

私の両手は木山先輩が握ってる。

・・・

私はどうしたらいいかわからず、

目を何度も瞬きしてる。

・・・

こんな状況になる約一時間前。

・・・

「えっと、は、離してください」

腕を握ったままどんどん進む不良さん。

・・・

「お前は黙ってついて来ればいいんだ」

そう言って・・・

意外にも優しい笑みを浮かべた。

・・・

「・・・」

その微笑みに、

反論するのをすっかり忘れてしまった。

・・・

そして連れてこられたのが、

廃工場の後。

・・・

流石に身の危険を感じた私は、

もう一度抵抗を試みた。
< 85 / 180 >

この作品をシェア

pagetop