アカイ花†Vermilion Flower
それに母から、私が分譲マンションを買う事を考えている等の話を聞いた祖父はそれではイカン!と動き出したわけだ。
私が、心機一転の為に新しく住居を構えたのは、分譲マンションではなく賃貸マンションだ。
部屋も前の家より広く、何より会社から近いのがここへ越してきた一番の理由。
バリバリ働かなくては、マンションを手にするだなんて夢のまた夢だもの。
お気に入りのラグマットにゴロンと寝転がって、私は、預金通帳を見つめた。
夢は、まだ当分先になりそう。
夢を掴むよりも先に、祖父に寄って知らない人と結婚させられるかもしれない。
「もしもし、ママ
おじいちゃんに言ってくれたぁ?」
「だめだめ、ママの話なんて
あの人が聞いてくれるわけ
ないでしょう
会うだけ会ってみれば
あなた、今、付き合ってる人
いないんでしょう?」
「ママぁ~、お願いだから
うまく断ってよ
私、おじいちゃん苦手なんだよね」
「ママだって苦手よ
それに、この話を断ったらあなた
本当に職無くしちゃうわよ
あの人は、こうと決めたら絶対
曲げないんだから・・・」