アカイ花†Vermilion Flower
きっと、私が今の彼の事を好きならそれで構わないはずだ。
妬きもちすら妬いてくれない男を、一途に愛するのはものすごく辛い。
その頃、浅緋は私が通う女子高の美術教諭で、私達の関係は幼馴染から先生と生徒になった。
美術の授業は、今思い返しても何を勉強していたのかさっぱり思い出せない。
その事は今も浅緋には内緒だけど、私は美術室の教壇に立つ貴方だけを毎週、時間が許す限り見つめ続けた。
流れる、幸せな時間・・・
そんな私の視線に、貴方だって気づいていたはず・・・
友達の書く絵は、どんどんいろんな色がキャンバスを埋め尽くして仕上げに近づいてゆくのに、私のキャンバスは真っ白に近い。
ほらっ、貴方が私の頭をポンッと叩いた。
「ミウラ
見てないで描け」
「リコ、キャンバス見てても
できあがらないよ
どうすんの!
リコだけ真っ白じゃん」
芙美子の言葉に、浅緋はクスッと口元を緩めた。