アカイ花†Vermilion Flower

貴方は、私が見ているものがキャンバスではない事を知っている。

「ほらっ、続きを描け」

「え~、続きって言われても
 何にも浮かばない

 描ける気がしない」

「だったら、仕方ないな
 
 せめて、下絵ができるまで
 今日は居残り勉強だ!」


冗談だとばかり思っていたのに、放課後、鞄を持って友達と帰りかけた私を浅緋は呼びとめた。


「ミウラ、何してる

 お前は、こっちだ

 お友達は、さっさと帰りなさい」


貴方は私だけを手招き、友達を追い払った。


本当に私の事を居残りさせた浅緋、私は美術部員に紛れて拙い絵を描く。

そんな私のことなど放置して、貴方は部員達と楽しいひと時を過ごしている。


「その絵、イルカっていうより
 太ってるシャチだな」
 
「もう、先生ってばひどい~」
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