アカイ花†Vermilion Flower

美術室の香りは、浅緋の香り。


「今の私は・・・
 絵なんてどうでもいいよ」

「リコ、お前の気持ちは分かった
 
 だから、今は離れなさい」


急に先生に戻る貴方に、私は想いをぶつけた。


「いやっ、そんな事言って
 アッちゃんはわかってないよ
 
 どうせまた、うまい事言って
 私を遠ざけるくせに・・・」


私の頬に触れたのは、貴方の大きな手。


「じゃあ、聞くが
 あの男子高の彼、元気?」


低い声で、貴方はそう呟いた。


「何、急に・・・
 彼は、彼じゃないよ、友達」

「ふうん」


愛しい貴方が私を見つめる。

私だけを見つめてる。
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