アカイ花†Vermilion Flower
ガタッ、ドタン

静かな教室に響いたこの音は、勢いよく立ち上がった私のせいで椅子が後ろ向きに倒れた音。

だけど、その音よりも貴方を驚かせているものは、きっとこの私だ。


「リコ?」


貴方の背に回した両腕を、私はギューッと締めつける。

大好きな貴方に、私はこの身を預ける。

緊張で震える、私の声・・・


「離れろ、だなんて

 言わないでね

 ・・・・・・

 アッちゃん

 私、もう17だよ
 
 もう、子供じゃない
 もう、待てないよ」

「・・・・・・」


何か言ってよ、浅緋・・・

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