皇帝のサイコロ
「えー。豆腐は最初に食べたいよね?ねぇ、お父さん」

有紗が父に向かって同意を求める。

「わしは牡蠣。始まりも終わりも牡蠣。わしの前世はたぶん牡蠣やな」

「うふふ」

父の発言に笑う母。

笑いのツボが浅いのか父の言うことによく笑う。

そうしていつもより長い晩ごはんが終わった。

「ごちそうさまでした!」

有紗が手を合わせ、食器を流しに持っていった。

そして階段の上へと消えた。

「ちょっと話があるんだけど」

父の目を見てそう告げた。
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