・*不器用な2人*・
第48章/新学期
1月7日の朝。

久し振りに顔を合わせるクラスメートたちのお陰で教室はやけに盛り上がっていた。

旅行へ行った人たちがお土産を配って回っていて、私も猿渡さんからあまり可愛いとは言えない奇妙なお守りをもらった。

「みんなはいいなー、色んなとこに行けて。
私なんて家族でずっとホテルに泊まってただけで特に遊んでないよ」

さりげなく金持ち自慢をするめぐちゃんを淳君が背後から軽く叩く。

「それだけで充分だろ」

めぐちゃんは叩かれた頭を軽くさすりながら小さくむくれる。

「俺なんて何処にも出かけられなかったんだから」

そう呟く淳君を見上げると、目が合ってしまった。

彼は一瞬気まずそうな表情をしたものの、すぐに自分の席へと戻って行った。




冬休みに流行ったインフルエンザのせいで、欠席者数は意外に多かった。

早速他学年が1クラス学級閉鎖になったという噂が流れ、不真面目な生徒たちが騒ぎ始める。

「うちらのクラスも早く学級閉鎖にならないかなー…」

めぐちゃんが小声で言いながら自習の課題を片付け始める。

「お前って意外に不謹慎だな…」

机をひっつけて一緒に勉強していた淳君が呆れたように呟く。

私の心配事はAクラスではなくDクラスの方だった。

始業式から1週間経つのに、未だに校内で木山君を見ていない。

向こうのクラスはあと1人抜けたら学級閉鎖と言われているらしく、Dクラスの前を通生徒たちはパッとマスクを着用していた。




屋上へ行くと、みんなコートを羽織ってカイロを握りしめていた。

「木山君は今日も来てないの?」

私が訊ねると、浅井君が「来てたよ」と答える。

「午前の授業は全部教室にいたんだけど、ほとんど寝てた」

井上君が空になったジュースのパックをビニール袋に入れながら静かな声で答えた。

4限目終了のチャイムが鳴ると同時に教室を出て行ってしまったらしい。

「部活にも来てないけど、話しかければ普通に話してくれるし、変わったところはないよなー…」

浅井君の言葉にDクラスの生徒たちが深く頷いた。

「木山ならさっき職員室にいたよ」

遅れて屋上にやって来た梶君が、両手を擦り合わせながら言う。

「最近サボリが多いから、心を入れ替えて勉強しなさいって先生に説教されてた」

進級の為にはある程度の単位が必要になってくる。保健室へ届け出を出していれば少しは甘く見てもらえるものの、サボリは完全に欠席扱いになってしまうのだ。

木山君の単位が減りすぎないことを祈りつつ、私たちは食事を再開させた。

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