今日も、明日も、明後日も



「ただいま、おばあちゃん」



顔中のシワを寄せ笑うその写真に一言つぶやくと、『おかえり』そう聞こえた気がした。



一ヶ月と少し前、おばあちゃんが亡くなった。



生まれてすぐ親がいなくなった私を引き取ってくれた、母方の祖母である千鶴子おばあちゃん。いつも水色の割烹着を着た、小さな体のおばあちゃんは、女手一つで私をこの歳まで不自由なく育ててくれた人。

昔はおばあちゃんとおじいちゃん、その子供たち……と大勢で住んでいたというこの大きな家。そんな広い家の中で、二人きり。父も母もいなかったけれど寂しくなんてなかった。それはいつだって、優しいおばあちゃんがいたから。

料理上手で、少し心配性で、いつだって当たり前に側にいてくれた。なんでも話を聞いてくれて、悪いことをすれば思いきり叱られたし、時には喧嘩だってした。でもいつだって最後には、二人とも笑顔になっていた。



そんなおばあちゃんが亡くなったのは、今年の冬のある朝のこと。


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