今日も、明日も、明後日も



野菜、肉……あ、あとルー買わなきゃ。

そう歩いていると不意に目に入ったのは、果物売り場に並ぶパックに入った大粒の苺。真っ赤な実から漂う甘い香りに、思わず一パック手に取る。

すると後ろから覗き込んだ伊織さんは明るい声をあげる。



「あっ、苺。しかも甘そうないい匂い!鈴ちゃん、苺好きなの?」

「……好きだったんです」

「へ?」

「おばあちゃんが、ね」



その匂いに思い出すのは、優しい声と笑顔。


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