TABOO†ムスクに抱かれて~秘密の恋
暫くして映画が始まると、独特の色彩と世界観を持つ作品の中にぐいぐい引き込まれていった。
「あれ?!
慧(ケイ)??」
スクリーンの隅に、小さく映る少年。
一瞬だけで直ぐに見切れた。
でも、間違いない。
スクリーンではまだ幼さの残る彼も
今や国民的アイドルを経てトップスターに成長し、メディアで見かけない日はないほど。
「慧、この映画に出てたんだ…
デビュー作はこれじゃなかったはずだけど」
小さく呟いた私の後ろで、ふわりと風が巻き起こった。
「そう。
公式じゃないけど、これがほんとのデビュー作」
後ろから耳朶を掠めるように囁かれ、私は小さく息を呑んだ。