バーテンダー

到着した先は、確かに彼が言ったように、畑や田んぼに囲まれた、ほのぼのとした場所だった。


近辺に住む住民たちからは、まるで孫のような扱いを受けたと話していた。


彼の言うとおり、駐在所近くの畑にいたおばあさんが、いち早く彼を見つけて、走り寄って来た。


久しぶりに会った孫を見るように、嬉しそうに笑い掛けて来て、隣にいるわたしに向かって、『嫁を連れて来た』と騒ぎだした。


彼はそう言われて否定しなかったので、わたしも、否定せずに隣で笑って会釈した。


おばあさんの自宅に案内され、敷地内に植えてあった木を見上げた。
小さくて赤い実がなっていた。
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