キミの風を感じて

加島くん? ……じゃないか。



グランドで準備を進める人たちを目で追い、加島くんかどうか無意識のうちに判別している。


今日は体育祭の準備があるから陸上部の練習はお休み。


体育委員の彼は、終礼が終わるとすぐに他のクラスの委員が迎えに来て、一緒にどこかへ行ってしまった。


教室を出ていくとき、加島くんの顔が不意にこっちを向いたので、とっさに体ごと反対側に向けてしまったことを思い出した。




何やってんだろ、わたし……。


自己嫌悪で加島くんとは目も合わせられないくらいなのに、遠くからだとこんなふうに彼の姿だけを探してしまう。




迷惑ばっかかけてるくせに

いつもいつも、いっぱいかばってもらって

ケガまでさせてしまって……。




ずっとこらえていた涙がまた目の中にあふれてきて、グッと歯を食いしばった。




今日は一日中こんな気持ちの繰り返し。


< 153 / 375 >

この作品をシェア

pagetop