キミの風を感じて

『だって加島くん、何だか照れくさそうに笑ってたから』


『からかわれてたんだよ、立木さんのことで』


『わたしのこと?』


『気を失ってんのに抱き締めすぎだろって、すげー笑われた』


『あ……はは』


あのときの加島くんのたくましい胸を思い出して、ドギマギしてしまう。




『じゃあ、明日な』


もう一度加島くんは言った。


『うん、明日』





電話を切ってからしばらくぼんやりと動かずにいた。


動くと忘れちゃいそうだから、じっとそのまま何度も何度も彼の声を思い出す。




『明日はみんなで思いっきり走ろう』


そう言った彼の言葉も

こんな気持ちもあんな気持ちも、全部……


大切に胸にしまって精いっぱい走る。




それが目標……!





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