闇夜に真紅の薔薇の咲く
休み時間になると、噂を聞きつけたイケメン好きの先輩方を含めて二人の周りには女子が群がり、度々悲鳴じみた声をあげる。






女子の扱い方になれたルイは、時々甘い言葉をささやきながら極上の笑みで女子の質問やらに答えていく。






一方のノアールはも、女子からの質問などに一度も笑みを絶やすことなく答えていた。






時々笑ったり、困ったりと様々な表情を見せる彼はさながら王子のようである。






窓側の席からは悲鳴と言うか、感嘆のため息が聞こえてくる。






そんな騒がしい彼らに挟まれている朔夜はと言うと、現在陽雫の席に避難中だ。





誰ともなしに彼らの方に視線をやり、ため息をつく。






王子のようなノアール。常に浮かべられたその笑みを見るたびに、朔夜は恐怖で顔が引きつる。







彼の本来の性格を知ってしまったからだろうか。






何故だかあの笑顔の裏に苛立ちに歪められた表情が潜んでいそうで恐ろしい。






ノアールの方を向いたまま頬を引きつらせて固まってしまった朔夜を見て、陽雫は頬杖をつくとあきれ果てたようにため息をついた。









「よくもまぁ、あんなに気持ち悪い声が出せるもんだ。同じ女として感心するね」







嫌味がたっぷり込められたその言葉は、もちろん騒いでいる女子に聞こえるはずもない。






朔夜は苦笑を浮かべると、「そうだね」と言って頷いた。





実際、時々聞こえてくる彼女たちの声は恐ろしく気持ち悪い。






恐らく1オクターブ高いと思われる甘えたようなその声は、耳に侵入してくるたびに今まで感じたことのない嫌悪が体中を駆け巡る。






思い出しただけで寒気を感じて思わず自分を抱きしめると、先ほどまで苦笑を浮かべていた柚梨が不意に心配そうにこちらを見つめ、僅かに首をかしげると表情同様心配そうな声が発された。








「それより、朔夜。大丈夫? 先生が黒崎くんたちの席伝えた時、すごい視線で睨まれてたけど……」

「あー、大丈夫だよ。いつものことだし」














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