あいことば
「お前は自分のことだけでいっぱいいっぱいだったもんなぁ。
オレ、お前に遠慮なんてしないから。」
兄貴の言葉に、オレはゆっくりと兄貴のほうに向き直った。
兄貴の瞳が、真剣だ。
「お前は、今までチャンスがあっても告ろうとしなかったろ?
だから、オレは遠慮しない。」
兄貴はそう言ってソファから立ち上がり、オレの横を通り過ぎていった。
オレはただ、兄貴の言葉をかみしめながら立ち尽くしていた。
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