あいことば
「……暑い。」
そう言いながらジャージの下から顔を出すと、駿がじっと見ていた。
「悔しかったら泣いていいよ。」
「……………」
「お前、ずっと泣きたそうな顔してる。
見ないから、泣いていいよ。」
駿がそう言って、また視線をトラックに戻した。
「…何であたしがあんたの前で泣かなきゃいけないのよ。」
そうつぶやいたあたしの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
あたしはまたうつむく。
駿には、何でも見透かされている気がする、
だからかなー……
いつも最後に頼ってしまうのは。