あいことば
「……ありがと。」
泣き止んだあたしは、そう言って駿にジャージを返した。
「お前、目赤いよ?
もしかして、
泣いてた?」
「……わかってるくせに。」
あたしがそう言うと駿が笑った。
そして、駿が立ち上がった。
「4時からだから、
オレの決勝。
次はしっかり見とけよ!」
「わかってるって。」
あたしは、目の前に立つ駿を見上げた。
「ちゃんと、見るから。
駿の走り。
だから、頑張ってね。」
あたしがそう言うと、駿は笑いながら荷物のところに戻っていった。