本屋 和正の優雅な読書
「で…」

仕方なく、といった様子で優花を見上げ、和正は溜息をつく。

「こちらにはどういったご用件で?本をお探しですか?」

「読書家ぶってた割に、漫画読んでるなんてさ…ハッ、子供みたい」

和正の問いかけに答えず、彼を嘲笑う優花。

「僕は読書も好きですが、何より本自体が好きなんです」

優花の挑発にも乗る事なく、和正は語る。

「電子書籍なんて流行っていますが、紙の本のよさが理解できない人が増えて残念ですよね…何がいいってインクの香り、それから頁を捲った時の手触り、指に伝わるあのざらついた感触がえもいわれぬ…」

「長ぇよ、そして訊いてねぇ」

顔を顰めて優花がツッコむ。

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