ダブルスウィッチ
えみりの言葉に彩子の目にはいつしか涙が浮かんでいた。


彩子の中ではもうえみりは憎んでいたはずの愛人なんかじゃなかった。


唯一自分の気持ちをわかってくれる、同じ人を愛した同志のような、そんな存在に変化しているのがわかる。


誰にも言えなかった気持ちを、えみりはうわべだけじゃなく、実体験として感じてくれていた。


「ありがとう……

亮介さんがなんであなたを好きになったのか……わかった気がするわ?

若くて美しいだけじゃない、強くて優しいところ

きっとどれも私に足りないものだったんでしょうね?



……わかりました

私も3ヶ月、あなたの品位を落とさないように、精一杯えみりさんを演じます」


「じゃあ、契約成立ですね?

お互い、納得の上ってことで、3ヶ月間どう行動しようが文句言いっこなしですよ?」


にっこりと微笑んだえみりの表情は、すっきりと晴れやかで、吹っ切れたようなそんな笑顔だった。


彩子もまたえみりに負けじと笑顔を見せる。


「私も覚悟を決めたわ

3ヶ月後、どうなっていようと文句は言わない

せいぜい、あなたの体で楽しむことにするわ」


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