ダブルスウィッチ
憧れていた亮介の妻という立場は、思っていたものとは違ったけれど、少しだけでも体験出来て良かったとえみりは思っていた。


恋愛と結婚は違うのだと、身を持ってわかったから。


いつか、彩子のように丸ごと愛せるような相手と巡り会えたら、それはそれで幸せなことなのかもしれない。


今夜、亮介はえみりを抱くだろうか?


最後の夜だからと、別れを告げながら触れるんだろうか?


それが、今まで虐げてきた妻だとも知らずに……


(結局、私はこの姿で亮介さんには触れてもらえなかったな……)


自分がそう仕向けたくせに、広いベッドに一人横になっていると、未練がひょっこり顔を出す。


亮介に最後に抱かれたのはいつだったろう?


ずいぶんと昔だったような気がえみりはしていた。


少しだけ感傷に浸りながら、気づけば涙がえみりの目尻からツーっとこぼれる。


目が覚めたら生まれ変わった気持ちで、また新しい恋をすればいい。


えみりは自分にそう言い聞かせながら、いつの間にか眠りについていた。





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