ダブルスウィッチ
それはえみりを抱くときとなんら変わらない優しい触れ方で、それゆえに勘違いしそうになるほどだった。

今、自分はえみりで、いつものように亮介に抱かれているんじゃないかという錯覚。

彩子ならあげないかもしれない甘い声が漏れてしまったのもそのせいだ。

一瞬、驚いたような顔をした亮介の表情がそれを物語っていたけれど、止められなかった。

彩子の身体は充分に亮介の指に唇に反応していたし、満ちていた。

女として、なんらえみりと変わらない。

なのに今までその悦びを味わえなかったのだから、やはり彩子は不幸だったのだろう。

そして唯一えみりとは違ったこと。

それは亮介が彩子の中で果てたことだ。

あれほど避妊を完璧にしていた亮介の、これは彩子への償いなんだろうか?

もう子供は望めないと諦めていた彩子に対する、亮介なりの答え。

初めて彼の吐き出したものを受け止めたのが、彩子の身体だったことに、えみりは複雑な思いで目を閉じた。

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