ダブルスウィッチ
あれから、無言電話はピタリと止んだ。
やはりあれは浮気相手だったのだろう。
彩子の攻撃は効果的だったということになる。
亮介に余計なことを言わずにすんだと彩子はホッとしていた。
外で何をしようが彩子に咎めることは出来ない。
亮介が、けして認めないことはわかっていたし、離婚も出来ないのだ。
ならばあえて揉めるようなこともしたくない。
彼女も大人しく愛人という立場を楽しめばいいのにと彩子は思う。
彼女がしたことを彩子が亮介に問い詰めれば、きっと彼は彼女を切るだろう。
何事もなかったような顔で彩子に接しながら、浮気なんかするわけないだろ?と呆れたような顔で言うのだ。
それがわかりきってるからこそ、悔しくてたまらない。
彼は誰も愛していない。
愛してるのは自分だけなのだ。
妻という立場を完璧にこなしながら、彩子は女として愛されている彼女を羨ましく思う。
自分のこれは、仕事みたいなものだ。
ただ家政婦みたいに家事をして、会社の行事に愛想よく出ていくだけの人形。