イケメンSPに守られることになったんですが。


**


幸いナイフで切られたのは皮膚だけで、何針か縫っただけで済んだ。


これくらいなら、今後の警護にも支障はない。


いや、出してはならない。


俺の治療中、中園さんは若いSPに絡まれていた。



「おー、良くなったじゃん。すげーな、メイクマジックって」


「うんうん、かわいいよ、麻耶ちゃん」



……お前らなあ。ちゃんと警護に集中しろよ……。


って、俺も人のことは言えないか……。


シフトを調整し、家に帰って少しだけの休憩をもらうと、俺は自分の部屋ではぁと息をついた。




『お前なあ、俺に手を出すなって言ったくせに、なにしてんだよ』



頭の中で、リョウの声がする。



「…………」



本当だ。


いったい何をしてるんだ、俺は。



『……この際、あいつに妙な魅力があるのは、俺も認めよう。

心から不本意だが』



誰が不本意だ。


中園さんが盾に取られて、なかなか発砲できなかったくせに。


お前らしくない。


世間の目なんかいくらでもごまかせるし、テロリストを逮捕すれば、多少のことは上がもみ消してくれる。


いつも、そんな警察の悪いところを利用してきたじゃないか。


今日に限って、お前が撃てなかったのは……。


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