イケメンSPに守られることになったんですが。
そして、よく眠れないまま作戦当日の朝を迎えた。
ちゃんとブラジャーをつけた私がメイクまでしているのを見て、新城さんが驚く。
「どうしたんだよ……気味悪いな」
「気合を入れなきゃいけないときは、メイクしなきゃです」
女性ならわかっていただけると思うけど、「ここぞ!」って時にはメイクに気合が入るもの。
それに……もしノーメイクのまま凶弾に倒れたら……。
最後に特殊班のみんなに見られるのが、いつものブサイクな私の死に顔になっちゃうじゃない。
……いや、ダメだ、何考えてるの、私。
大丈夫。
みんながついてる。
死んだりしない。
絶対、生きて帰るんだから……。
「……手、震えてるぞ」
新城さんが心配そうな表情で言う。
確かに、気づけば手が小刻みに震えていて……。
アイラインが微妙にぷるぷるした線になってしまった。
「あうう!」
結局ブスじゃん!くっそー!
もういいや!
アイラインのふたを閉め、ぽいっとテーブルの上に放った。
どんなに外見を取り繕おうと、私は私。
それ以外の何者にもなれないんだから、あきらめよう!
私は防寒のために、家政婦の○タ色コートを着て、マフラーをぐるぐる首に巻いた。
テレビから流れる天気予報では、今日は強い北風に注意と、そう言っていた。