イケメンSPに守られることになったんですが。
亮司さんの黒いセダンの助手席から降りると、びゅうと冷たい風がスカートのすそを揺らした。
「寒っ!」
マフラーに顔をうずめる私の手を引くのはもちろん亮司さん。
今日は仕事が早く終わったから、夕食をどこかで食べていこうという話になり、私は大衆向けのイタリアンレストランを選んだ。
「久しぶりだし、もっといいところでも良かったのに」
「いいの。私、ミラノ風ドリアが食べたいの」
と言い、一番安いドリアをひとつと、ドリンクバーだけを注文することに。
ああ、食欲がない……珍しいな。
とにかく温かいものが食べたい。
今日は特別、異常に寒い。
正直、早く帰ってあったかい部屋着に着替えたいけど……忙しい亮司さんと一緒にいられる時間は、できるだけ大事にしなきゃ。
「最近、仕事が忙しいのか?」
「へ?ううん、相変わらずお茶くみとかコピーとか……」
「そうじゃなくて、夜の内職の方」
私は事件後、昼は篠田さんの下で雑用を、夜はネット小説を書いて過ごしていた。