地方見聞録~人魚伝説譚~
「レト」
「オルハさん?」
板を片手に持ったオルハが「君は」と続ける。
「家にいるつもりかい?」
「はい一応」
「そう……。だと思って、この前の扉、直しておいたよ」
ついこの前、裏の扉が壊れたとセインに話していたのを思い出した。
どうやら彼が話してくれていたらしい。
微笑むオルハが続ける。
「いつでもエノヒ様のところへ来るんだよ」
「大丈夫ですよ。もし酷くなったら行くつもりですから」